研究・論文
Changes in peripheral blood test results among adults in the six years following the Great East Japan Earthquake: the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後6年間の成人における末梢血の継時的変化:福島県「県民健康調査」
要約
2011年の東日本大震災後に福島県が行っている県民健康調査では、放射線被ばくによる健康への影響は認められていません。また放射線被ばくに感受性の高い末梢血液検査では、リンパ球減少、好中球減少、貧血、血小板減少は認められていませんが、2011年以降の白血球分画の変化についてはまだ検討されていません。そこで16歳〜84歳の避難区域住民25,885人(男性11,383人、女性14,502人)において、震災後4ヶ月の行動調査から外部被ばく線量の推計結果がある住民を対象に被ばく線量の0-1 mSvと1 mSv以上の2グループに分け、2011年度から2017年度までの末梢血液検査及び白血球分画の変化とその影響因子について解析しました。2011年度と比べて男女ともに白血球減少のある住民の有意な増加はありませんでしたが、男性において被ばく線量に関係なく貧血の割合が2017年度まで増えていました。貧血の発症には、喫煙、避難生活、多量飲酒は関係なく、痩せと高齢であることが有意に関係していました。以上から貧血の原因として、特に男性において低栄養状態が関係することが示唆されました。
書誌情報
タイトル | Changes in peripheral blood test results among adults in the six years following the Great East Japan Earthquake: the Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
坂井晃1, 2、中野裕紀1, 3、橋本浩一1, 4、岡崎可奈子1, 5、長尾匡則1, 3、島袋充生1, 6、大平哲也1, 3、石川徹夫1, 7、坪倉正治1, 8、細矢光亮1, 9、高橋敦史1, 10、風間順一郎1, 11、橋本重厚1, 12、渡邉和之1, 13、小橋元1, 14、佐藤博亮1, 15、高橋秀人1, 16、林史和1, 3、佐藤志帆1, 3、大戸斉1、安村誠司1 |
掲載誌 | Fukushima J Med Sci. 2025 Apr 11. |
関連リンク |